コートはアクアスキュータム派の僕が、提案する理由。
こんにちは、くまじゅんです。
ようやく、冷え込みも強くなり冬物アウターを取り出す時期になりました。
いきなりですがここ数年、Burberry(バーバリー)の一枚袖が若者を中心に人気を博し、古着界では品薄と価格高騰が止まらないように思えます。
確かに、Youtuberの方達が着用し " 希少性 " というワードに飛びつく気持ちも分かりますが、「レアだから買う」というお買い物は、僕自身ちょっと癪に触ると言いますかあまり後味が良くないと思えます。
古着には、洋服の原点になるアイテムが多数存在しており、その一点の生い立ち・歴史を踏まえて希少性や価格の価値が決まり「着てみたい・所有してみたい」と感じ、購入をしてきました。
その" 希少性" だけをファッションに取り入れてしまうと、ファッションとして終わってしまうのではないのかな?と、感じてしまいます。
僕の意見も、捉え方も人それぞれなので一概には言えませんが、数が減少し続けるものなので自分の感性と向き合って古着を選択していただけたらいいな。
堅苦しい意見ですがこの場を借りてお伝えしたいなと思いました。
ということで、前置きが長くなりましたが今回はBurberry(バーバリー)と共に、コートの歴史を築き上げてきたAquascutum(アクアスキュータム) をご紹介します。
僕自身、スーツやシャツなどフォーマルな印象のアイテムは、どうもカジュアルに着こなせないセンスの悪さがありましてワードローブに取り入れないのですが、コートは好きで見つけたら手に取ってしまうアイテムです。
その中でも、トレンチやバルマカーンと色々ありますが王道といえばバーバリーやアクアスキュータムに行きつきます。
僕は、この2つのブランドを選ぶとすると迷いなく" アクアスキュータム(ヴィンテージもの) "
を選んでしまいますね。
バーバリーは、皆が来ていることや値段が高過ぎる事を理由にあまり手に取らないこともありますが、若干タイトな作りのアクアスキュータムの方が僕の好みであることが、第一の理由です。
まだまだ認知度も低いブランドではあるので、語るほど詳しいわけではないですが、僕なりに魅力あるアクアスキュータムを紹介してみたいと思います。
・ブランドの歴史
まずは、アクアスキュータムの歴史から紐解くと創業150年を超える超老舗ブランドで、日本で言う幕末辺りに相当するのでもはや文化を作ってきたブランドと言っても過言ではないでしょう。
1851年に、仕立て人ジョン・エマリーがロンドンの中心地リージェント・ストリート46番地で創業したところから始まります。
ブランド名の由来はラテン語で「水」を表すaquaと「盾」を表すscutumの2語を組み合わせた造語で「防水」を意味から名付けられました。
アクアスキュータムの名が広まり始めたのはクリミア戦争(1853〜1856)の頃で、イギリス軍が上級将校用(将官や佐官を中心とした当時の貴族将校、及び裕福な家庭出身の将校)のコートに、この防水生地で作ったコートを採用されました。
その後「サービスキット」として下士官以下に支給され、機能性と品質の信頼性の高さから知名度が飛躍的に上がります。
そのコートの生地は厚手のウールギャバジン製で水を通さないオイル仕上げの芯地を用いられていました。
(ちなみに、ギャバジン生地はバーバリーの創業者が1879年に発明しました。)
1897年には王室御用達(Royal Warrant Holder)となる。このエドワード7世の影響もあって、家庭向け・ファッション向けにも広められ大衆へと認知度を上げ始めます。
1900年には婦人服部門を設立し、撥水性のケープやコートを売り出し婦人参政権論者の間で広く使われるようになりいわば正装のように使用されるようになりました。
第二次世界大戦では、冬季ヨーロッパ戦線を中心にした戦いにおいて、王立海軍や王立空軍の将兵が同社のコートを着用し戦闘に使用されます。
そして終戦後に生まれたのが、同社のトレンチコートの型として有名である「キングスゲート」の基となった「キングスウェイ」です。
戦場で生まれたトレンチコートは、映画スターたちに着用されることで、男らしくも優雅なファッションアイテムへと変貌を遂げました。
アクアスキュータムのトレンチコートはタフにしてエレガントな男のアイコンとなったのです。
1980年代に自動車の内装部品を製作したこともありました。
(三菱デボネア アクアスキュータム)
・ブランドの特徴
バーバリーのトレンチコートも有名ですが、アクアスキュータムはバーバリーよりも早く創業し、世界初の防水ウール生地の発明をしたブランドでもあります。
共に軍への納品を行うなど品質、信頼性は優れ現在も150年以上続く老舗ブランドになったことはその証です。
クラブチェック柄
アクアスキュータムの特徴の1つといえば、クラブチェック柄です。
この柄は1976年に創業125周年を記念して発表されました。
製品にシンボルとしてあしらわれているのが、アクアスキュータムのハウスチェックである「クラブチェック」です。
本来、イギリスにおいて貴族的スポーツとされるハンティングスタイルにおいてのスポーツコートに多用されるチェック柄を採用しています。
クラブチェック柄があるコートは、1976年以降の製品と判断できるので1つの目安となります。
・定番モデル
・トレンチコート
Kingsway (キングスウェイ)
1930年に誕生したアクアスキュータムのキングスウェイは、世界で初めてモデル名が付けられたトレンチコートといわれる歴史的名作です。
Kingsgate (キングスゲート)「Kingsway」は同社におけるトレンチコートの基本とされている型であり、その後「Kingsgate」に発展した。その後モダンなシルエットに改良され、名称も再度「Kingsway」に改められている。
・バルマカーンコート
LEIGHTON (レイトン)
アクアスキュータムのバルマカーンコート(日本名 ステンカラーコート)で、定番モデルと言えばLEIGHTON (レイトン)です。
デザインもシンプルに、さりげなくクラブチェック柄が顔をのぞかせる品のあるコートです。
ヴィンテージでも、よく見られるモデルとなります。
・生地
Aqua5 (アクアファイブ)
1959年にアクアスキュータムを象徴するはっ水生地“Aqua 5”が誕生
。はっ水、はつ油、引き裂きへの強さ、長綿、厳選された天然素材の5つの特徴を備えた意味を持つ
・AquaLene (アクアライン)
1970年代辺りに扱われたと考えられる生地で、綿とビスコースの混紡生地を使用している。
・Wyncol.D711
1953年、人類初のエベレスト登頂に成功したエドモンド・ヒラリーが登頂の際に着用したコートに使われた素材の名称。
・年代判別
ヴィンテージ古着を探すには欠かせない年代判別の情報は、アクアスキュータムも同様知っておくべき知識です。
(↑1904年 広告)
〜1940年代
(↑1930's Aqua scutum)
1959年〜Aqua 5 タグ
1970年代 アクアライン登場
1970年代後期 ワラント復活
1980年代 カラフル&カナダ製登場
別注タグ
1990年に、日本の企業レナウン(2020年倒産)に買収される。
その後ワラントが、剥奪されたとされる。
・ヴィンテージ市場
ここ2015年頃から、ヨーロッパヴィンテージ市場がアメカジ古着の勢いを圧倒し始めてから、シルエットが新鮮なヨーロッパミリタリーや裁縫がきめ細やかなドレスアイテムを見る機会が多くなりました。
中には、ここ1,2年で目まぐるしい価格高騰が続くアイテムも増えてます。
オールドバーバリーも一概ではなく「cotton100%」「一枚袖」を中心に店頭から消え、価格も上がりました。
一方、アクアスキュータムは2020年現在ではトレンチ・バルマカーンコートのゴールデンサイズ(36〜40)でも、¥20,000以下で購入することが出来ます。
バーバリーと引けを取らない品質の高さやシルエットの上品さ、しかもまだまだ素材や種類を選び放題でかなり穴場なブランドだと確信しています。
アクアスは、ブリティッシュスタイルを好む玄人向けかと思いますが、綺麗なAラインシルエットが魅力的なので合わせやすく、使いやすいです。
ヴィンテージアクアスでもシルク100%やカシミヤ100%も存在しますが、バーバリーのものとは価格も良心的でいろんな種類を集められるのでオススメします。
現在も、様々なブランドが行っている「別注品」を見つけるのもかなりオススメ!
ヴィンテージモノだと、百貨店やセレクトショップやテーラーからの別注で販売していたアイテムがあり、情報も圧倒的に少なくレア度も高いので見つける価値あります。
どれが別注品?というのはタグで判断することが出来ます。
別注品は、表地・裏地の素材の違いやパーツのディテールなどでも判断出来るので、見比べてみて頂きたいです。
いかがでしたでしょうか?
古着ブームもまだまだ続き、今まで手にして来なかったアイテムに火がつき価格が高騰する時がやってくるでしょう。
その時は、アクアスキュータムも品質の高さから対象では無いかと僕は思います。
ですので、選べる今のうちに自分に合ったアクアスキュータムを手に入れるチャンスですのでぜひ探してみてください!
それでは、したっけね!