ハリスツイードについて知識を身につけよう!
こんにちは、くまじゅんです。
本格的に冬のシーズンが到来し、冷え込みも強まってきましたね。
やっと、ニットやコートのウール素材が本領発揮のシグナルが点灯した事でしょう。
さて、ここ1,2年でしょうか90's古着を中心とした「グッドレギュラー」というカルチャーが形成され若者を中心に、活発化してきました。
そして、2020年代のファッションテーマに「ドレス」を多くのブランドが取り入れることから、今流行りのオーバーサイズでスーツのセットアップが人気を博しています。
僕は、30代を迎えたのでなかなか挑戦する気持ちにはなれませんが、改めてスーツアイテムを着たいなと思いました。
そこで、渋い男の必須アイテム「ハリスツイード」良いよなぁ〜と思い今回記事に書いてみました。
僕も何度か所有したことがありましたが、似合わずまだ年齢が追いついてないアイテムだなと手放しました。
でも、手放してもツイードのカッコ良さには惚れてしまうので、その魅力を少しでもお伝えしたいと思います。
・ハリスツイードとは?
「ハリスツイード」というワードは、ちょっと洋服が好きな方でも馴染みのある用語でもあり、ここ数年プチプラアイテムとしても安価で目にすることがあると思います。
ハリスツイード(Harris Tweed)は、スコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島発祥のツイード生地を意味します。
主に、ヴァージンウールを使用して島内で染色・紡績をし、職人の自宅で人力織機を使用し手織りされている生地のことを指します。
ちなみに「ヴァージンウール」とは、今までに1度も毛を刈ったことのない羊から取れる最初のウールのことです。
羊の一生のうち、たった1度しかとれない貴重な素材で、肌触りが2回目以降より柔らかいのが特徴。
そしてハリスツイード協会によって決められた厳しい基準をクリアしたもののみ、ハリスツイードと認められ、また認められたもののみオーブの商標が与えられます。
・ハリスツイードの歴史
ハリスツイードの歴史は長く、約150年以上前に遡ります。
(↑レディ・ダンモア)
1846年レディ・ダンモアがハリス島の職人にマレータータンをツイードで織らせるところから始まります。
(↑マレータータン)
ダンモア夫人は、職人が織るツイードの出来が良く、周囲の評判も良好であったためハリス島の産業として広めようと動き出します。
それから、彼女の熱心な営業や生産方法改善により更に売り上げを伸ばし、ロンドンでも販売されるようになる。
その後、ハリスツイードは社交界での需要も増えていくようになって行きます。
1903年から1906年の間に北のルイス島でツイードを織る産業が本格化し、増え続ける注文に対応するために新しい設備が作られて行きました。
また模造品から保護するために1905年に制定された登録商標法に基づきハリスツイードの名前の登録を申請し、1909年に登録され、1910年に付与されます。
1911年から、ストーノウェイ会議で紡績機械によって作られたもののみ、本物のハリスツイードとする事が定められました。
そして、協会によって認められたものにのみオーブの商標が与えられるようになりました。
かなり厳格な規定が決められており、産業を守る意識がすごく強く感じます。
それから長きにわたり、高級織物として認知度を上げ1960年代にはピークを迎えましたが、1970年代に入ると大量生産の事態に突入し、現在まで生産数が減少しました。
1990年代初頭には二重幅織機、織工の再訓練など新しく、より厳しい品質基準を導入した。それによってより柔らかく、軽いツイードを作ることで近代化に着手します。
1993年に英国議会は伝統的な織物の衰退を避けるため、ハリスツイード条例を制定する。ハリスツイードの技術や製品は国際的な保護のもとに置かれるようになる。
これは、日本で言う無形文化財のような扱いになるのでいかに国の発展に影響を及ぼしたか証明したと思います。
2011年オーブの商標を使用してから100周年の記念として限定のブラックレーベルが作られます。
・タグのマークは何の意味?
ハリス・ツイードのマークは「オーブ&マルチーズ・クロス」(Orb and Maltese Cross)といって、1909年に英国王室から使用許可を得てつくられ、イギリスの高品質毛織物を表す伝統的なシンボルとなっているものです。
「マルチーズ・クロス」(マルタの十字)とは、元々は地中海のマルタ島の騎士団のシンボルで、角が広がっている形の十字です。その後ヨーロッパの王族たちが好んで取り入れてきました。
イギリス王室の標章であるorb(オーブ:宝珠)です。
イギリス王室のオーブとは、エリザベス女王が国会を開催する時に持つ杖の先端についている王位を象徴する標章であり、 Scepter(笏杖)やCrown(王冠)と並ぶREGALIA(王権を象徴する宝器)です。
そして、このイギリス王室の標章オーブは「伝統」を意味し、天体の衛星は「未来」を意味していて、「オーブ(ORB)」のブランドロゴは 「伝統をもって未来を創る」というクリエイティビティを表しています。
ヴィヴィアン・ウエストウッドは「王室をパロディーにしてしまう」というパンク的意味合いがあるらしく、一方では伝統を重んじるハリスツイードは真面目にオーブをロゴマークに使用しています。
・ハリスツイードの基準
厳格に規定が決められている中に、様々な基準が存在します。
協会は「外側表面の50%以上にハリスツイードの生地を使用する(50%ルール)」などの条件をクリアした商品に原則としてブランドの使用を認めています。
そして、この基準と日本のアパレルで問題が起こったことは皆さんもご存知かと。
・ハリスツイード問題
ハリスツイード人気は、世界的に見ても日本が集中的に人気を博しています。
ハリスツイードの2015年の生産量は170万㍍で、うち、日本向けが60%を占めると言われています。
ハリスツイード協会のローナ・マコーレー会長は「日本ほどハリスツイードのテクスチャーや色を気に入ってくれている市場はない。とても重要な市場」と太鼓判を押すほど。
しかしここ数年、低価格帯の洋服を販売する言わば「ファストファッションブランド」で、大量のハリスツイード商品が陳列していたのはご存知でしょうか?
アイテムの一部に、ハリスツイードの生地とタグが付いておりそれが¥2,000〜¥3,000 の低価格で並んでいました。
ですが、高級織物のハリスツイードがこの価格帯で販売していたことは、分かる方には異常な光景だと分かります。
実は、この状況にハリスツイード協会は警報を鳴らしています。
協会は2015年1月、製造元の代理店を通じて50%ルールの順守やブランドタグをハリスツイード生地の上に刺しゅうするように日本の業者に要望を出しました。
理由としては、各ブランドが「外側表面の50%以上にハリスツイードの生地を使用する(50%ルール)」の存在を理解せず、アイテムを作り販売を行なっていたことです。
基準値以下の量のハリスツイードの生地と別の生地を混ぜ、ブランド名を利用した事によります。
これにより、販売するブランドもアイテムの自主規制も行われることになりました。
・年代判別
ハリスツイードも、長い間テーラーなどに親しまれてきた高級生地でヴィンテージモノがたくさん存在します。
ですが、元々生地の生産のみで洋服を作るメーカーでは無いので、百貨店やブランド・テーラーのタグも合わせての判別になるので比較的分かりやすいのかなと思います。
1930年代
1940年代
1950年代
1960年代
1970年代
・狙うべきヴィンテージツイード
2019年頃から、ハイブランドやデザイナーズブランドで90'sスーツの要素を取り入れるデザインが多くなり、古着のドレスアイテム人気が活発になりました。
ハリスツイードは、古着を知らない方でも認知度は高くツイードをコーディネートに取り入れる10代、20代の若い世代の人気もあります。
選べる幅は広くありますが、やはり全盛期であった1960年代のツイードアイテムを狙うべきだと僕は思います。
現在でも、その生地を使用したアイテムはありますが生地のしっかりとした厚みとウールの質感は、それ以降の年代とは比べ物にならないです。
それに、ハリスツイードから専用の生地を下ろしていたイギリス屈指のメンズブランド「Dunn&co.」が一番輝いていた時代でもあり、名品揃いで価格も手頃なのがいいところ。
流通量が多いと言うことと、着る人を選ぶアイテムでもあるので価格も落ち着いており、¥20,000あればかなり上質なツイードアイテムは手に入ります。
あまりツイードアイテムに力を入れていないお店だと、年代が古くても安く店頭に並んでいることもあるので、タグを見て試着してサイズが合えば、手に入れましょう。
いかがでしたでしょうか?
冬のシーズンに入り、暖かいアイテムを手に入れる良いタイミングですので、良いハリスツイードアイテムを探して楽しんでいただけたらと思います。
それでは、したっけね!